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第3回公開講座 姫路キャンパス

2016-12-07
 

平成28年12月7日(水)  姫路キャンパス第3回公開講座では、足立泰紀教授が『柳田國男を読んでみません か?』と題し、講演されました。  

 柳田國男(1875-1962)は福崎町出身で、学者・詩人・官僚という3つの側面を持 つ文化人(文化勲章受勲者)です。学者としては、日本民俗学を確立したことで有名 ですが、農政学(現在の農業経済学)や国文学、歴史学、宗教学の分野においても大 きな功績を残しました。今回の講義では、その中でも特に見落とされがちな、農政官 僚・農政学者として活動した時期の思想に光をあて、その背景にある江戸時代の経世 済民思想との関連について、福崎町や姫路市に点在する指定文化財「固寧倉」*と結 びつけて話されました。

 「固寧」は姫路藩が『書経』の一節から名付けたもので、一般には「社倉」と呼ばれ ています。「社」はもともと土地神が住まうところを意味し、後に「神社」として神 をまつる場所や建物として特定されるようになりました。そして、社を中心とした人々 の集団形成とその活動内容から「結社」や「会社」、「社会」という言葉が形成され ています。この点から「社」は、人々が同じ神を祭る人々に対する公益の活動をして いる状態を指すようにも思えます。  

 明治時代に入ると、「世間」ではなく、「社会」という言葉が重視されるようにな りました。ヨーロッパ人の互助的社交活動を意味する「ソサイエティ(society)」を 福地桜痴は「社会」と訳しています。ちなみに、福澤諭吉は、イギリスの「カンパニー (company)」を営利事業目的の結社と考え「会社」と訳しています。明治人として の柳田は、西洋学問の導入と江戸期に形成された日本思想との間に立って何を見て何 を考えていたのか、その後の民俗学につながる重要な論点と思われます。

 講演終了後、「難しかったけれども、勉強になりました」、「福崎町の住民が理解 できるように柳田國男関連の公開講座を継続的に開催してほしい」などの意見が寄せ られました。

 次回は、本年度最終回、長谷川貴士教授の『大衆社会のゆくえ~オルテ ガの思想を手がかりにして~』となります。

 

*福崎町福田の固寧倉については、以下のホームページを参照。  http://www.town.fukusaki.hyogo.jp/0000000280.html