同窓会

『会員クローズアップ-第1号-』1期生河崎崇史さんの活躍ぶりを紹介します

2013-09-03

『会員クローズアップ』

会員クローズアップはこれから毎月本学卒業生のインタビューをこちらにアップしていきます。

お話を聞きに行くのは同じ卒業生の同窓会スタッフです。インタビューを希望される方は自薦、他薦問いませんのでこちら(kaigo.sw@gmail.com)までご連絡ください。「こういった活動をしています」ということの紹介もさせていただきます。
また、「探偵ナイト!あの人はいま」では連絡のとれない同窓会会員を同窓会執行部のネットワークを使い探し出します。依頼したい方、詳細をお聞きしたい方はこちら(kaigo.sw@gmail.com)までご連絡ください。

さて、クローズアップ再開第一回目は岡山の老人介護事業所、創心舎で営業本部長をしている河崎崇史さんです。

社会福祉学部(令和2年4月1日学部名称変更予定) 福祉産業学科 第一期生(平成16年3月卒業)  
  河崎 崇史さん(創心舎 営業本部長)

株式会社創心會(http://www.soushinkai.com/)
本社: 〒710-1101 岡山県倉敷市茶屋町2102-14創心舎 

笑顔がさわやかです 愛車とともに


――現在の会社に入った経緯について教えてください


  僕は岡山県出身なので、岡山に帰って仕事に就こうと思っていました。ただ就職活動が遅れたので、岡山市役所の福祉相談所で臨時職員として採用してもらい、一年間勤めました。もともと世の為、人のためになる仕事に就こうと思っていたんです。

ただそこで役所の人に聞いた話によると、公務員は「全体の奉仕者」であるという理念で働くから、あなたがあるセクションを希望して配属されたとしても、そこでずっと働けるんじゃないんだよということを聞きました。事務職員として3年ごとにいろいろなところをまわって経験することになると。

課長や部長までステップアップできた人なら専門のセクションに固定されて交替もないけれど、一定の役職がつくのに平均15年から20年くらいかかると言われて。
そうすると役所の仕事では今の情熱を20年後も保っていられないかもしれないと思ったんです。そこで民間会社に行こうと決めました。

オープニングスタッフを募集していた特別養護老人ホームとか、色んな会社の面接を受けました。その中で今の会社の面接を受けたときに社長(法人の代表)が、「個別ケアが大事」とか、「自立支援というしっかりとしたサービスを本気でやらないといけない」とか、そういうことを言われたんですね。それで僕は「それじゃ失礼ですけど、ご縁があったあとで実態が違ったとしたらお互い残念だと思いますので、すぐ見学させてください」と言って現場を見せてもらったんです。


――かなり大胆ですね
 

  社長がもともと作業療法士で、在宅ケアをしたいということで立ち上げた会社なんです。そのときは会社が設立10年目のときだったんですけど、デイサービスの場でもリハビリを頑張っていました。

今は「デイサービスでリハビリ」は当たり前だけれど、当時は斬新で、アクティブな介護をしていた。それで実際の現場をみせてもらったら、「ああ、ここいいな」と思いました。それで今の会社に入ったんです。


――会社に入って、最初はどんな仕事を?
 

最初はケアワーカーとして働いたんだけど、ただ2ヶ月後にはもう管理者になっていました。といっても管理者兼、生活相談員兼、ケアワーカーみたいな感じ。前任者が急遽退職することになって。「俺がやるしかない」という感じで。


――援助職としても社会人としてもまだキャリアから考えれば未熟ですよね?不安はありませんでしたか?

会社としてのサービスの指針が定まっていたから、割りとそれに助けられて。キャリアがなくてもこれがやりたいという気持ちがあればサービスというか仕事はやりやすかったかな。要領は悪かったと思うけれども。

ただ、周りは自分よりもキャリアがある人達で、基本的にみんなベテランの人たちばかり。当時、自分は国家資格を持っていなかったので資格が弱いなというのは感じてましたね。

でも先輩や社長が「肩書きで仕事をするなよ」ということを常に言っていて。資格とか肩書きとかが邪魔をして、利用者さんや家族さんに親身にできていないケースがよくあるんだと。それぞれの職種が、その仕事は介護でしょ、看護でしょ、リハビリでしょというふうに押し付けあいがあるんです。

でも利用者さんにしてみれば、けっきょく誰が一番親身になって自分のことを助けてくれているのかということが大事だし。そういった意味でも肩書きにとらわれずにやりなさいと言われて、それでけっこう楽になって。無知の強さみたいなところで一年目からやれたのかなと思います。


――今までの仕事で印象に残ったことはありますか?


  僕が最初に配属されたデイサービスセンターのときです。要介護2の利用者さんだったんだけれども、リハビリでけっこう機能回復してきてたんです。それでその人がある日、「わしら旅行でもいけれんか?」と聞いてこられたんです。
その方ひとりだけだったら希望は叶うと思って、「できると思いますよ」といったんだけれども、その人は「いや、このデイの人みんなでいきたいんだ」と言われて。
 

――ムチャぶりみたいな(笑)
 

  ただサービス業の精神からいうと、できませんとかいうのは心苦しいから、一緒に考えさせてくださいと話をして。一日日帰りのランチ旅行みたいな感じのことならできるんじゃないかということで、一生懸命なんとかできる形にもっていってました。でも、結局われわれ抜きで利用者さん同士で相談して、交通手段とかも自分たちで工夫して旅行に行くことを達成しちゃったんです。
 

――別にリハビリをして麻痺が治ったわけではないけれども・・・

    彼らは脳卒中になって障害者として介護現場に入ってきたわけです。社会からドロップアウトしたわけですよね。それがまた社会というか、その人にとっての自然で新たなコミュニティがまた形作られていった。

デイの利用者さんは脳卒中の方がとくに多かったけど、弛緩麻痺が強かったりする人もいて。もちろんその麻痺が治るわけではないけれど、リハビリをすることで全体的なADLが向上して、それが別の部分を補完して、それがQOLの向上に繋がって、その人達の自己実現につながっていったという。一番やりがいを感じましたね。

ただ社会に出て行くといっても、旅行やレジャーという狭い一部分しかないということにも気づきだしたんです。それで今うちの会社でNPO法人を作って、障害者の方の就労支援事業ということをやっています。

介護保険で訪問リハビリとかデイサービスでよくなった利用者さんを、障害者支援として就労支援の場で利用者として利用してもらって、働いて工賃を稼いでもらう。利用者さんにはお弁当とかデイサービスの給食を作ってもらったりとか、スイーツを開発しようとか、これが世間一般に流通してヒットでもしてくれたらと思ってます。

障害を負ってからでも収入を得られる、障害者の下克上だ、みたいなコンセプトでやろうと。そうして切れ目のない自立支援をやっていけたらなって。まだまだ利用者は少ないですけど。
 

――現在はどんな仕事を?
  
   事業所の指定数でいうと、今37事業所あって、今はこの会社の全てのサービス事業所の統括責任者をしています。肩書きは営業本部長ということになっているけれど。人事もするし、経営決裁もするし、人事考課もするし。本部長になってからはまだ2年目です。
 

――じゃあ大抜擢ですよね。抜擢された理由は?
 

    大抜擢だと思いますよ。社長に言われたのは、会議で物怖じせず発言するのが、いいと言われたことかな。あとはビジョンがあって、結果を出すまで遂行する力がある。会社が求めている、帰属意識をはかる研修とか勉強会とか会議とか、そういったことを全部ちゃんとやってきた。会社の風土、モラルを一番ちゃんとよくわかっている、というあたりが買われたんじゃないかと。あと、人を育ててきたよね、というところ。

最近は、全国の介護事業者さんと知り合いになるような場にも出させてもらうようになって、月一回は東京に行かせてもらったりしてます。

民介協(全国介護事業者協議会)っていって、全国の介護事業所が集まる連絡協議会があるんです。そこの中国地区の理事を、うちの社長がしているから、その代理で理事会に出させてもらっています。
 

――そこでは具体的にどういった仕事を担っているのですか?
 

    社会保障審議会はこんなこと言っているから、協会としてはこんなことを提案するよとか。他には、例えば近い将来消費税が8%に上がりますよね。その消費税があがる目的を社会保障費に政府が充当してくれるように、と言っているんだけれど、単なる経済効果だけでいうと、僕達の処遇はよくならない。そこを詳しく検証していって、ちゃんと要望を出していこうということですね。

単純に、消費税が介護保険料とか、社会保障費に盛り込まれた感じに思われているけれども、実際は、我われの施設の建物をたてる時には建築費に消費税がかかったりとか、機材や設備をいれるときにも消費税がかかっているわけです。

だから消費税が上がったら上がった分だけ、消費税のあおりはいっぱい、くうわけだから。介護報酬の単価を上げてくれるか、介護業界については消費税の免除とかをしてくれないといけない、というような議論をしています。

他には、政府が小規模多機能施設を増やしてくれとか、定期巡回サービスを増やしてくれとかいっているけれども、実際にはこういうことがネックになっているから、なかなか伸ばせていないんだよとか。
 

――全国の連絡協議会に参加して発言するような立場にいるわけですが、いわゆる「現場」とは、ずいぶん離れていますね
 

    現場のサービスを追求して、やれと言われても楽しめたと思う。いろいろさせてくれる施設とそこまではしなくていいという施設と、いろいろあると思うけれど、うちの会社は現状に満足せず、常にアクションをおこしなさいという会社なので。

社内で学会もしています。研究発表とか。入社一年目で学会発表、事例発表をさせてくれるから、研究したい人にもやりがいがあると思う。NPO法人設立のときもそうだけど、会社全体のフットワークが軽いからやりやすいとは思います。ただ人材確保は悩みの種ですけどね。
 

――責任のある役職についていますが、給料面はどうでしょう
 

    給料に関しては、びっくりするくらい濃淡がつく法人なんです。入社した頃に、自分より3歳年上の27,8歳くらいの先輩がいて、その先輩には奥さんがいて、子供が二人いて、マイホームもすでに建てていたりとかしていたから、「3年以内にこの人と同じ経済力に到達できる」、という夢がありましたね。そのための努力をいかにおしまずにやるか、というのが自分との勝負みたいな。

入社したときに国家資格をもっていなかったのは自分だけだったから、努力しないと飯が食えないな、というのを常に思っていて、ハングリーにさせられる雰囲気はもってましたね。
 

――仕事をしている中で、つらいと感じたことはどんなことですか?
 

    やめたいと思ったのは、自分じゃない人のほうがうまくやれるんじゃないかと思った時。それは新規事業の責任者になったときに感じました。自分の中で丁寧に関わったつもりのスタッフが退職するとか、自分がこういうふうにやれば利用者さんも喜んで、経営もうまくいくと思うんだけれども、実績が伴ってこなくて、上司からの評価が上がらなかった時とか。

僕は、スタッフにはいい就職先に勤めているんだと思わせてあげたくて、いっぱい良い評価をつけて給料をあげようとしていたんですね。でも、どうしてもそれに見合う収益が出てこなかったときに、上からはスタッフを減らさないといかんぞとか、評価が甘いぞ、とか言われた時です。

スタッフに見せている僕の顔はいい上司じゃないですか。でも経営者からみると、甘い中間管理職というか、スタッフの給料を手厚くしたいという思いだけではどうしようもなかった。自分の考え方を変えないといけない局面でした。
 

――難しい局面ですよね。でも、それをどう乗り越えたんですか?


   利用者さんに関わっているスタッフの要望を聞くだけの、自分の考えしか持てていないという自分に気づいたときに、責任者になるのに早すぎたなと思いました。でも、その時に会社が経営の勉強をいっぱいする機会を与えてくれたんです。研修や有名な講師のセミナーとかに参加させてもらえて。

それからやめることよりも、経営のことをしっかりやれば、みんなを幸せにできるかなと思うようになりました。「自分が理想とするサービスを作りたい」、スタッフも「こんな介護がしたい」と思う気持ちがあればあるほど、経営のことをちゃんと自分が勉強すれば、それが叶いやすくなるという思いが強くなりました。
 

――河崎さんが今まで経験したことから、後輩に伝えることがあるとしたらどんなことですか?


   使命感をもって仕事をしたいという人には向いていると思いますね。基本的に人間相手の仕事だから、合理的にいかないことがほとんど。そこで行き詰まるんじゃなくて、そこで、どこをどう掘って突き通そうかとか、どこかに違う道がないかを探して到達しようとする。

それは使命感がないとできないと思うから。使命感をちゃんともって仕事につくというか、そういう仕事をすることが素敵だと思う人は向いていると思います。介護の仕事は。

燃え方にもいろいろあって、組織の中で仕事をすることで燃える人もいると思うし、逆に個人でやれることもあると思うし。それは真面目さというのとは違って、哲学がある人が向いているということですね。

僕は、人事採用の仕事もしているんですが、前職がいろいろな人が介護業界に入ってくるわけです。
そういう人たちは「ナマの『ありがとう』を言ってくれる仕事についてみたかった」という人が多いんです。
意外と介護の学校を出てきた人のほうが、「これから高齢者介護にたいするニーズがあるから」と言うほうが多いですね。

世間のいろんな仕事をしてきている人のほうが、こういう介護の仕事に求めているのは、本当にお客さんから心から満足してもらえる声を聞きたくて、この業界がいいんじゃないかと思ってきたという声がある。それはまさに僕にとってもこの仕事を続けるやりがいになっている部分です。
 

――キャリアパスの問題はどう考えていますか?老人介護業界では、ケアマネージャーの資格
をとることが一定のキャリアパスという考えがありますが
 

    確かにケアマネの資格をとるというのも、ひとつのキャリアパスだと思う。でも介護業界って、ベンチャーで起業している人も多いし、独立という道もありですよね。

でもどちらにせよ、運営上手というか、チームを形成して、広く仕事をちゃんと進められるようなキャリアパスが求められると思う。たぶん、それがこの業界で働いている人の給料の上げ方でもあると思います。

たとえ自分が介護の現場職だったとしても、ひろく全体を把握できるような人材になってほしいと思いますね。